「目標が達成できない不安」の研究

研究者:<すし>

1.研究の動機

・<すし>は、現在大学4年生であり、就職が迫っている。

・<すし>は公務員試験を受けることを考えているが、合格できるかどうかが不安で、時間的には行くことが可能な予定をキャンセルしたり、理由もなく泣きそうになったりする。しかし、かといって勉強に時間を集中して使えているわけではなく、しばしばネット上で動画を見たりしてしまっている。

・過剰な不安ゆえに、<すし>は困っていた。<べとりん>に相談したところ、<べとりん>は一緒に<すし>の不安について研究してみることを提案したため、<すし>はこれを了承し、その場で研究を行った。

 

2.研究の目的

・<すし>の不安について、その理由を調べる。

 

3.研究の方法

 研究協力者<べとりん>が<すし>の語る内容をノートにメモし、その内容を見ながら、気になることについて質問した。その場で何か別に話したいことが思いついた時は、自由に話をした。メモの内容を再び文章に起こし、整理した。


4.研究の結果

分かったことを、A「規定するまなざし」と、B「ハードルジャンパーモデル」の二つの話題に分けて説明する。


A.「規定するまなざし」

概要

<すし>は他人からまなざしを向けられると、行動が制限されると感じている。この現象について箇条書き的に記述した。


中心原則

「行動を制限されたくない」

「他の人から見てじゃない人になりたい」

 

・他人から「規定」されたくない

 ・「あの人は〇〇(真面目、普通、女の子っぽい、等)だよね」と思われたくない

 ・他人に何か言葉をつけて規定されるとその通りに動かなきゃいけないような気になる。

 ・他人からの言葉は、期待されているというプラスのものよりは圧力として感じる。

・<すし>は他人から〇〇のように見られたい、というような気持ちは少ない。

例えば、頭が良く思われたいとか、可愛く見られたい、というような欲求は少ない。

・「変な人」だと思われるのはアリ

・他人から注目されることは苦手である。

・集団の中で「浮く」のが苦手。

・他人に興味があまりない。

・その代わり、自分が設定した目標を達成することにとても強くこだわりがある。


B「ハードルジャンパーモデル」

概要

<すし>の行動原理について整理した。

<すし>は他人からどう見られるか(他者からの評価)にはあまり関心がないが、「自分が設定した目標(=ハードル)を達成できるかどうか」(自分からの評価)に強くこだわりがあり、それを主要な行動原理としている。

 

ハードルとは

・ハードルとは、自分が達成すべき目標として決めたことのこと。

・ハードルは、自分の能力よりも少し高い目標である。

 例えば、「自分の能力より少し上の大学を志望する」「公務員を目指す」「サークル活動のリーダーを引き受ける」などである。

・一度ハードルを定めた後は、<すし>はそのハードルを乗り越えるために必要な行動を着実にこなすことで、安心感を得る。

・ハードルに着実に向かっていることを実感できる行動をしている時は、やる気や熱意を感じる。

・ハードルを乗り越えることができると、「自分が今まで思ってなかったことができた!」と思い、喜びや達成感を覚える。

 

ハードルを乗り越えられない場合

・<すし>にとって、ハードルを乗り越えられない事態はあってはならないことである。

・ハードルを乗り越えられない時の対応は考えていない。

・そのため、ハードルを乗り越える未来に行きつくまでの具体的な見通しがない事態(もしくは、ハードルを乗り越えられない事態について考えなければいけない状況)に追い込まれると、強烈な不安に陥る。

・ハードルを乗り越えるために、具体的に何をすればいいのか分からない状態も、強烈な不安を呼び起こす。

 

気軽にハードルが設定できないことについて

・<すし>にとって、ハードルを乗り越えられない事態はあってはならないので、失敗の可能性があるようなハードルを立てることはとても危険であり、避けるべき行為である。

・例えば、「何らかの役職に立候補しても上手くその仕事をこなせないかもしれない」時は、ハードルを超えられない恐れがあり、その役職に就くことは回避する方が安全である。

・過去、<すし>はこれまでハードルを乗り越えられなかった(=失敗した)経験はない。

・一つ大きなハードルを作ると、そのハードルを乗り越えるまで別のハードルを作れない。(今のハードルを乗り越えられるかどうかに必死になっているため、他にエネルギーを向ける余裕が無いため)

・そのため、何か大きなハードルに立ち向かっている最中は、息抜きとして、別のハードルがいらない行動しか取れなくなる。例えば、「ネットで動画を見る」「落書きをする」など、その場ですぐ終わるような行動しか取ることができない。そのため、「勉強するか動画を見るか」というような、両極端な行動を取るようになる。

 

ハードルを乗り越えられない場合の対応策

<すし>が現時点で持っている対応策は、あまり多くないことが分かった。

・ハードルを越えるまでの具体的な見通し(方法)が分からない時の対策

 ・他の人に相談する。他の人に教えてもらったり、アドバイスをお願いする。


・乗り越えられないことが明白な場合

 ・状況が変わるのを待つ(何もしない)

 ・ハードルを下げる、諦める(他人から強く意見された場合に限る)